「わが愛の税務署」

 カバーには「倒錯した納税意識が痛快」と紹介されていますが、難しく考えず、単純に面白く読みました。ちょっと赤塚不二夫さんの漫画を思い出しました。
 本作の解説で、作家としての収入が激増した際、税務署に呼び出しを受け、出向いてみると大したことは聞かれず拍子抜けした、と作者ご自身が語られています。
 税務署から連絡があると、やましいことがなくても誰も多少は動揺するものですが、筒井康隆さんも同じだったようです。
 しかし、呼び出された後、「何を聞かれるのか?と行くまでの勝手な想像が面白かった」と言いきっておられるところは、「さすが小説家!」と思いました。